福島正則's コラム

2012年2月14日

お隣おばちゃん、ご夫婦で金沢バス旅行。

何か違和感のあるご夫婦がいるので気になっていた。

最初の宿の夕食、箸を持たせ、小鉢を持たせ、ご主人がかいがいしく奥さまの世話をしている。

どうやら奥さまは認知症の様子。


翌日、兼六園、集合写真を撮るとき。

「はーい、皆様よろしいですか。」

「ちょっと待ってください。」

くだんのご主人が声をかけて止めたそうな。

何をするのかと思いきや、奥さまのハンドバックから口紅を取り出して奥さまの唇に塗り始めたんだそうです。

でも慣れないことをするからうまくいかない。

見かねたお隣おばちゃん、

「どれ、私が塗ってあげるから貸して!」

紅を塗りながら思った。


「奥さん、あんたはこの世で一番しあわせな女だ。

ご主人に紅をさしてもらえる女なんてあなたのほかにいないよ。

でもあんたはわかんないんだね。」


うらやましいやら切ないやらで急に涙があふれてうまく塗れない。

ようやく塗り終えて顔をあげたらほかのご夫人方も同じ思いだったらしく皆目をうるませて見ていたそうな。

私もいつかこんな夫婦になりたいと思います。

さてお隣おばちゃん、帰宅後ご主人に「私がわかるうちにやさしくして!」と言ったとか言わぬとか。


(福島正則)